🗨️「影をつけるだけで、こんなに顔に立体感が出るなんて思わなかった!」
そんな声が多く聞かれる顔の影の描き方。でも、描き始めると「どこに影を入れればいいの?」「暗くなりすぎて変になる」と、初心者ならではの悩みにぶつかる方も多いはずです。
この記事では、以下のようなポイントを網羅しながら、顔に自然な影を描くテクニックをわかりやすく解説していきます。
- 顔の立体構造と光源の意識
- 道具選びと描く前の準備
- ベース色からの塗り重ねステップ
- 頬・鼻・目など部位ごとの影の描き方
- 自然に見える影色とトーン調整法
- アナログ・デジタルそれぞれの描画の違い
「顔の影を描く」と一言で言っても、その奥には「観察眼」「色彩感覚」「表現力」など、複数のスキルが絡み合います。
初心者でもプロのように仕上げたい! そんな気持ちに寄り添い、段階を踏んで丁寧に解説していく構成です。読み進める中で、今まで難しく感じていた影の描写に自信が持てるようになるはずです。
これから顔の影の描き方を学ぶあなたにとって、最も効果的で、すぐに実践できる情報を詰め込んでいます。絵を描く楽しさをもう一段階アップさせるきっかけになれば幸いです!
顔に影を描く基本知識とポイント
顔に影をつける工程は、イラストや絵画において非常に重要なステップです。ただ顔を描くだけでは平面的に見えやすく、のっぺりとした印象になります。しかし、光源を意識した影を適切に入れることで、立体感が生まれ、顔がグッとリアルに見えるようになります。
このセクションでは、顔に影を描く際に必要な「理論」や「観察の視点」について解説していきます。
なぜ顔に影を描くのか
人間の顔は複雑な凹凸を持つ立体構造です。目・鼻・口・頬骨・顎などの各部位に光が当たることで、自然に陰影が生まれます。その陰影を描くことによって、イラストに奥行きやリアリティが生まれるのです。
逆に影が全く描かれていない場合は、顔が平面的に見えたり、キャラクターの魅力が十分に伝わらなかったりします。
顔の構造と立体感の関係
顔に影を描くためには、まず顔の構造を理解することが大前提となります。
部位 | 特徴と影の出やすさ |
---|---|
おでこ | 滑らかで凹凸が少ないが、髪の毛の影が落ちやすい |
頬骨 | 顔の立体感を強調するキーポイント。陰影が明確に出る |
鼻 | 最も突出しているため、左右どちらかに強く影が落ちる |
口元 | 唇の形により細かい陰影が必要。下唇下の影がポイント |
このように、顔の構造を「どういう形状なのか」「どこが凹んでいて、どこが出っ張っているのか」といった視点で観察すると、影の位置が自然と見えてきます。
光源を意識する重要性
影を描くうえで最も基本でありながら忘れられがちなのが「光源の意識」です。
- 光が上から当たっている場合…おでこや鼻筋、頬骨上部にハイライトが入り、目の下や鼻下に影が生まれる
- 横から当たっている場合…顔の片側が影になり、立体感が強調されやすい
- 下から光が当たる場合…ホラー的な印象になりやすく、非現実感が強調される
光源の方向を決めることで、影の落とし方も自動的に決まってきます。 描き始める前に「どこから光が当たっているのか」を必ず意識しましょう。
影を描く場所の見極め方
影を描くべき場所は、光が届きにくい「くぼみ」や「裏側」が基本です。以下に、代表的な影を入れるべき箇所を紹介します。
- 髪の生え際(前髪の下)
- 目のくぼみ、まぶたの下
- 鼻の側面と下部
- 唇の下、顎との間
- 首と顎の接する部分
これらのポイントを押さえておくだけでも、一気にリアリティが増し、顔全体が締まって見えます。
初心者が失敗しやすいポイント
影を描く際、以下のようなミスをしやすいので注意しましょう。
- 影が濃すぎて顔が暗く見える
- 光源がバラバラで影の向きが統一されていない
- 影をつけすぎて表情が見えなくなる
- すべての影が同じ濃さで平坦に見える
影は「描く」というよりも「演出する」感覚で、立体感と自然さを意識して少しずつ描き進めるのがポイントです。
顔の影を描くための道具と準備
顔に影を描く際には、道具選びも非常に重要です。特に紙・筆・ペン・ソフトウェアの選定によって仕上がりに大きな差が出ます。
おすすめの画材とツール
描くスタイルによって最適な道具は異なりますが、以下は初心者におすすめのものです。
スタイル | おすすめ画材 |
---|---|
アナログ | 鉛筆(2B〜6B)、コピック、色鉛筆、水彩筆 |
デジタル | CLIP STUDIO PAINT、Procreate、Photoshop |
筆圧や色の濃淡を表現しやすい道具を選ぶことで、影のグラデーションも自然になります。
下描きで意識すべきこと
影を描く前の「下描き」は、顔のバランスと光源を決める大事な工程です。
- 顔の中心線をしっかり取る
- 立体感を意識して球体や立方体として顔を捉える
- 光源の方向に合わせた影のガイドラインを入れる
下描きの時点で陰影をイメージしておくと、本塗りでの迷いが減ります。
グラデーションを作る工夫
影を自然に見せるには、「境界線」を作らず「グラデーション」でぼかすことが重要です。
グラデーションの作り方
- アナログならティッシュや綿棒でぼかす
- デジタルなら「エアブラシツール」や「不透明度の低いブラシ」を使用
- レイヤーを分けて重ねることで濃さを調整
濃淡を段階的につけることで、影に奥行きと空気感が生まれます。
準備をしっかり整えることで、影の描写は格段に楽になります。次のセクションでは、いよいよ実際の描画ステップへと進みます。
顔の影を描く基本ステップ
影を描く基本ステップは、「塗り順」と「レイヤー構成」を意識することが肝心です。いきなり影を入れるのではなく、段階的に重ねていくことで、自然で深みのある影に仕上がります。
以下は、初心者でも実践できる影の描き方ステップです。
ベース色の塗り方
最初のステップは「ベース色」を塗ることです。これは肌全体に塗る明るめの色で、後の影色やハイライトの土台となります。
- 肌の色味に合った色を選ぶ(例:薄いオレンジ、明るいベージュなど)
- 均一に塗りつぶさず、頬やおでこなどのハイライト部分はやや薄めに
- アナログでは筆圧を調整して塗る、デジタルでは不透明度を意識
この段階で顔の立体感をある程度意識しておくと、後の影入れがスムーズになります。
影の第一層の塗り込み
ベースが整ったら、次に「第一層の影」を加えます。ここでは光源を意識して、顔の凹んでいる部分・光の届きにくい場所から塗っていきます。
部位 | 影の入れ方のポイント |
---|---|
目の下 | 眼球の形に沿ってやや丸く、濃すぎず軽く塗る |
鼻の側面 | 光源と反対側を中心に、滑らかにグラデーション |
口の下 | 下唇の真下に影を入れて、唇に立体感を出す |
この第一層の影は薄めに設定し、濃くしすぎないことがコツです。
ぼかしと色のなじませ方
影の境目がはっきりしすぎると不自然に見えるため、ぼかし処理が不可欠です。
自然なぼかし方の例
- アナログ:綿棒、指、ティッシュで軽くこする
- デジタル:エアブラシやぼかしツールを使用
- 境目だけをぼかすのではなく、全体に馴染ませるイメージ
ぼかす工程では、筆圧を下げて重ね塗りすることで柔らかく仕上げられます。
顔の部位ごとの影の描き方
顔全体に同じような影を入れるのではなく、部位ごとの特徴に合わせて描き方を変えることが大切です。
このセクションでは、影が入りやすく印象を左右しやすい3つのパーツを重点的に解説します。
頬・頬骨周辺の影の入れ方
頬は、顔の丸みや表情を伝える重要なパーツです。
- 頬骨の下に沿って斜めに薄く影を入れる
- 笑顔の際には頬の盛り上がりに注意し、影の位置も変える
- 目元から頬へのグラデーションを自然につなげる
あまり濃く描くと老けた印象になるため、薄く柔らかく仕上げましょう。
鼻まわりの影の描写
鼻は顔の中心にあるため、陰影による印象操作が非常に重要です。
部分 | 描き方のコツ |
---|---|
鼻筋 | ハイライトを中央に残しつつ、左右に薄い影を沿わせる |
鼻の付け根 | 眉間からつながるように影をなじませる |
小鼻の脇 | 自然に落ちる影として強めに塗るが、輪郭をぼかす |
鼻は「直線的」「曲線的」な表現によって印象が大きく変わるため、自分の描きたいキャラ像に応じて影の形を変えましょう。
目元・口元の影のコツ
目元と口元は、感情や性格を表す最重要ポイントです。細かな影によって魅力を増すことができます。
- 目元:二重まぶたの影、涙袋の下など微妙な凹凸に注意
- 口元:唇の立体感を表現するため、上唇と下唇の境目を丁寧に描写
- 口角:上向きなら影を短く、下向きならやや長く落とすと印象が変わる
感情を表す部位だけに、影でやりすぎると「怖く」「老けて」見えることがあるので注意しましょう。
次のセクションでは、色の選び方と自然な影に仕上げるための調整方法について詳しく解説します。
自然に見える影の色選びと調整
影を描く際に「どんな色で塗るか」は、完成度を大きく左右する要素です。単にグレーや黒を使えばよいというものではなく、肌の色味や光の強さに応じた適切な色選びが必要になります。
色相・彩度・明度の考え方
色の選び方の基本には「色相・彩度・明度」という3つの要素があります。
- 色相(Hue):赤・青・黄などの色味そのもの
- 彩度(Saturation):鮮やかさの強さ。高いほど原色に近く、低いほどグレーに近づく
- 明度(Brightness):明るさの度合い。白に近いほど高く、黒に近いほど低い
影を描く際は、「肌の色相に合わせた少し低い明度・低い彩度の色」を選ぶのが基本です。
肌色に合わせた影の選び方
肌の色により、適した影色は異なります。
肌色のタイプ | おすすめ影色 |
---|---|
明るいベージュ系 | 薄いピンクグレー、ラベンダーブラウン |
黄味のある健康肌 | オレンジブラウン、落ち着いたキャメル |
色白・青白系 | 青みグレー、スモーキーパープル |
肌と影の色相がずれてしまうと、不自然に見える原因になります。特にデジタルではカラーピッカーの使い方に注意しましょう。
違和感をなくす塗り重ねテク
影を一度で仕上げようとせず、「薄い色を数回重ねる」ことで深みを出します。
- 第一層:淡い影色で顔のベースに馴染ませる
- 第二層:影を深めたい箇所にやや濃い色で重ねる
- 第三層:ポイント的に最も濃い影色を少量加える
このように濃度を分けてレイヤー的に影を描くことで、厚みのあるリアルな影に仕上がります。
デジタルとアナログでの影の違い
影の描き方は、使用する媒体によってもアプローチが変わります。デジタルとアナログ、それぞれに適した手法を理解しておくことが大切です。
アナログならではの注意点
アナログでは「一度塗ったら戻れない」ため、下描きと設計力がより重要になります。
- 鉛筆なら濃淡の使い分けが重要(H系とB系を使い分ける)
- 水彩やマーカーは「乾く前のぼかし」が命
- 紙の種類でにじみ方・色の出方が変わる
消しゴムでハイライトを入れるテクニックも、アナログならではの利点です。
デジタルでの時短テクニック
デジタルでは、ツールを活かした時短&高品質な影表現が可能です。
テクニック | 効果 |
---|---|
乗算レイヤー | 元の色を活かしながら影を加えることができる |
エアブラシ+マスク | グラデーションで柔らかな影が作れる |
クリッピングマスク | はみ出し防止と調整が簡単 |
デジタルでは、影レイヤーを分けておくと後から色味を調整しやすくなります。
両者に共通するコツとは
アナログでもデジタルでも、共通して大切なのは以下の点です。
- 光源を最初にしっかり決める
- 肌の色味に合わせた影色を選ぶ
- 影は一度に濃く塗らず、段階的に重ねる
- 境界線はぼかしでなじませる
つまり、「観察」と「設計」が何よりも重要なのです。
顔に影を描くという作業は、単なる装飾ではなく、キャラクターの感情や空気感を演出するための極めて重要な要素です。今回の解説を通して、より多くの方が影を描く楽しさと奥深さを実感し、描く力が一段と向上することを願っています。
まとめ
顔の影の描き方・影の塗り方には、技術だけでなく観察力と理解力も必要です。ただ単に暗く塗るのではなく、光源の方向・肌の色味・陰影の強さを意識して描くことで、作品の完成度は格段にアップします。
今回の記事で紹介したように、以下の点を意識すると失敗が減ります。
- 光源の設定を最初に決める
- 顔の凹凸に合った影を入れる
- グラデーションを丁寧になじませる
- 色選びは肌色との相性重視
- アナログもデジタルも「柔らかさ」を大切に
「自然に見えるかどうか」は、自分の感覚と他人の目をすり合わせることで磨かれていきます。時には鏡で自分の顔を観察したり、他の絵師の作品を分析してみるのも有効です。
また、使用する道具やソフトによっても描きやすさや表現が異なります。アナログでは筆圧や紙質、デジタルではブラシ設定やレイヤーの重ね方など、環境に合わせた工夫も必要になります。
影の描き方は一度理解すると、どの絵にも応用できます。キャラクターイラスト、ポートレート、漫画、どんなジャンルでも「顔に自然な影」が入ることで印象がガラッと変わります。
ぜひ今回の内容をもとに、自分のイラストに影を取り入れてみてください。きっと、絵に命が吹き込まれたように感じられるはずです。