デッサン鉛筆の濃さ・硬さ・使い分けで濃淡を自在に操る持ち方テクニックガイド!

pencil_tone_comparison_chart デッサンの知識

「デッサン用の鉛筆って、結局どれを選べばいいの?」そんな疑問を持つ方は少なくありません。鉛筆には、硬さと濃さを表すH・B・Fといった記号があり、それぞれの芯によって描ける線の印象や使いどころが大きく異なります。

本記事では、デッサンに適した鉛筆の種類や使い分け方を、初心者にもわかりやすく解説。ステッドラーやファーバーカステル、三菱ユニなど人気メーカーの芯の違いや、各硬度がもつ役割、さらにグリップの持ち方や筆圧のコントロール技術まで、徹底的に紹介します。

また、初心者が最初に揃えるべき鉛筆セットの選び方や、練習時に気をつけるポイント、手の汚れや画面保護の工夫までフォロー。あなたのデッサン力を一歩引き上げるためのヒントが詰まっています!

鉛筆の種類と硬さ/濃さについて

デッサンにおいて最も基礎となるのが、鉛筆の「硬さ」や「濃さ」に関する知識です。初心者から上級者まで、この部分の理解が作品の質を大きく左右します。この記事では、記号の意味や系統ごとの違い、メーカーごとの特性、規格について網羅的に解説します。

記号 硬さの目安 濃さの傾向
H 硬い 薄い
HB 中間 標準
B 柔らかい 濃い

芯の硬さ・濃さを表す記号(H・HB・Bの意味)

鉛筆にはH(Hard)、B(Black)、HB(Hard Black)といった記号があり、硬さや色の濃さを表しています。Hに数字が付くと硬くなる傾向にあり、Bに数字が付くほど柔らかく、黒く濃くなります。HBはその中間で、一般筆記にもデッサンにも使われるスタンダードな存在です。

H系統とB系統の濃淡の違い

H系統の鉛筆は芯が固く、紙に薄く、硬い線を引くことができるため、構図やアタリに向いています。一方B系統は柔らかく、紙に密着する量が多いため濃い線が描けます。グラデーションや陰影に用いることが多く、「デッサン 鉛筆 濃さ」の調整に欠かせない存在です。

メーカーごとの違い(ステッドラー/ファーバーカステル/三菱ユニなど)

同じ「2B」でも、メーカーによって濃さや硬さの感触は異なります。以下に代表的なメーカーの特徴を簡単にまとめます。

  • ステッドラー:やや硬め、線のキレが良い
  • ファーバーカステル:しっとりとした描き心地、均一性に優れる
  • 三菱ユニ:柔らかめで滑らか、黒みが濃い

個々の好みや作風に合わせてメーカーを選ぶことが、描画の質を高めるコツです。

JIS硬度規格と用途(2B~6B、2H~4Hなど)

日本工業規格(JIS)では、鉛筆の硬さが一定基準に基づいて分類されています。たとえば2H~4Hは図面や線画に、2B~6Bは濃淡を強調した描写に適しており、デッサンではそれぞれの特徴を活かした使い分けが重要です。

「F」芯の特徴と用途

Fは「Fine」の略で、HBとHの中間に位置する硬度です。線が滑らかでにじみにくく、筆圧に敏感な描写に向いています。細かい陰影やラインを丁寧に描く必要がある場面で有効です。


デッサン用鉛筆の使い分け方

デッサンは一種類の鉛筆で完結するものではなく、複数の濃さの鉛筆を使い分けることで立体感や質感を表現できます。以下では、下描き、影の締め、細部描写に適した鉛筆の使い方を解説します。

デッサンの仕上がりは、鉛筆の濃さとその切り替えによって大きく左右されます。芯の性質を理解し、場面ごとに適した濃さを選ぶことがポイントです。

アタリ(下描き)に適した濃さ(2B~4Bなど)

アタリは作品の骨格を決める大切な工程です。薄く滑らかに描ける2B〜4Bが適しており、消しやすさも重視されます。H系だと線が強く残りすぎることがあるため、柔らかめのB系で描くと後の修正もしやすくなります。

締め(濃い影)に使う濃い芯(4B~6Bなど)

陰影をはっきりさせるためには、濃い鉛筆が必要です。4B~6Bは芯が非常に柔らかく、黒の深さが増します。最も暗い部分や物体の奥行きを表現するのに重宝します。ただし、紙への食いつきが強いため、重ね塗りやぼかしには注意が必要です。

細部(ハイライトや細線)に使う硬めの芯(H~2Hなど)

ハイライトや微細な部分にはH~2Hのような硬めの芯が役立ちます。鋭い先端で細い線が描け、余計な摩擦や紙の傷みも抑えられます。白さを残すための削り出しにも有効です。


鉛筆の持ち方とグリップ

持ち方によって線の質やコントロールのしやすさが大きく変わります。ここでは代表的なグリップとその効果を比較し、線の種類や濃淡の調整に役立つテクニックを紹介します。

  • 線の方向をコントロールしやすい持ち方
  • 筆圧のかけやすさで濃淡に差をつける
  • 広い面を塗るか、シャープな線を引くかによって変える
  • デッサンの種類に応じた持ち方を習得する
  • 「濃さ」と「柔らかさ」のバランス感覚を磨く
  • 長時間描いても疲れにくいグリップを選ぶ

オーバーハンドグリップとライティンググリップの違い

オーバーハンドグリップは鉛筆を上から包み込むように持つ方法で、肩や肘を使った大きな動きが可能です。広い面積の陰影表現に向いています。対してライティンググリップは筆記のように持つ方法で、細かい描写や精密な線を描くのに適しています。

長く弱め/長く強め/短く弱め/短く強めの持ち方

鉛筆を長く持てば筆圧が弱くなり、自然なグラデーションが描けます。短く持つと制御しやすくなりますが、力が強く入りすぎて線が濃くなりがちです。意図に応じて持ち方を調整することで、同じ鉛筆でも異なる効果を得ることができます。

鉛筆を寝かせる・立てる持ち方の使い分け

鉛筆を寝かせることで芯の広い面を使え、柔らかく広がりのある陰影が作れます。逆に立てて持つとシャープなラインが描け、輪郭線や細部表現に向いています。デッサンの工程に合わせて持ち方を切り替えることが重要です。

角度と筆圧で濃淡をコントロール

デッサンにおいて「濃さ」は鉛筆の芯そのものだけでなく、描く角度や筆圧でもコントロールが可能です。同じ芯でも描き方次第で線の印象が大きく変わり、グラデーションや質感の表現力に差が出ます。ここでは角度と圧力を使い分けるテクニックを紹介します。

鉛筆を寝かせて広い面を薄く塗る技法

鉛筆を紙に対して寝かせることで、芯の側面を使って広範囲を一度に塗ることができます。この方法は、グラデーションや空間表現に適しており、淡いトーンを自然に広げることができます。「デッサン 鉛筆 濃さ」の変化を滑らかに出すためには、紙質との相性も考慮しながら行うのがコツです。

鉛筆を立ててシャープなラインを描く技法

逆に鉛筆を立てて持つと、芯の先端が集中して紙に当たるため、鋭く濃いラインが引けます。エッジや形状を際立たせたい部分、境界線の表現に最適です。筆圧を調整することで濃さも自在に変えられますが、芯先の摩耗や紙の傷みに注意が必要です。

クロスハッチングやハッチングによる濃淡表現

線の密度や重なりを工夫することで、複雑な陰影や立体感を生み出す技法がハッチング(平行線)やクロスハッチング(交差線)です。筆圧や線の間隔、角度の違いを組み合わせることで、芯の濃さに頼らずに深みあるトーンが表現可能になります。


初心者のための鉛筆セット選び

初めてデッサンに挑戦する人にとって、どの鉛筆を選ぶべきかは悩みどころです。ここでは必要な濃さのバリエーションやセット構成、メーカーごとの違いを踏まえながら、初心者に最適な鉛筆セットの選び方を紹介します。

Q. 初心者がまず買うべき鉛筆の濃さは?
A. 2H〜4Bの範囲で揃えるのが理想です。これにより、アタリから仕上げまで幅広く対応できます。
Q. セットで買う意味はある?
A. 統一感のある書き味が得られるため、特に同メーカーでのセット購入がおすすめです。

まず揃えるべき硬度(2H~4Bなど)

デッサンに使いやすい基本的な硬度は、2H、H、HB、B、2B、4Bの6種類です。硬めから柔らかめまで揃えることで、幅広い陰影や質感表現に対応できます。特にHBは中間の硬度で、描き始めにも便利な一本です。

セット購入のメリットとケース付きセットの利点

セット購入には以下のようなメリットがあります。

  • 必要な硬度が最初から揃っている
  • 同じメーカーで統一された書き味が得られる
  • ケースがついていることで持ち運びや保管がしやすい

特に野外スケッチなどを行う際には、コンパクトなケースがあると非常に便利です。

メーカー別おすすめ鉛筆セット

以下は初心者におすすめできる鉛筆セットの一例です。

メーカー セット構成 特徴
三菱ユニ 6本(2H〜4B) 濃く滑らかな描き心地
ファーバーカステル 8本(H〜6B) ヨーロッパ製の均一な芯
ステッドラー 6本(H〜6B) やや硬めで線がシャープ

練習時の注意点と画面保護

デッサンの練習では、単に描くだけでなく、紙や手の扱いにも注意を払う必要があります。ここでは初心者が特に気をつけたい「紙の保護」や「手の汚れ防止」、修正のタイミングについて解説します。

  • 画面(描画面)を常に清潔に保つ
  • 手の置き方や道具の使い方を工夫する
  • 練り消しゴムを活用して柔らかく修正する
  • 紙が傷つかない鉛筆を選ぶ
  • 不必要な圧を避ける
  • 消しカスの除去も丁寧に

描き始めに画面を痛めない鉛筆選び

紙の表面は意外とデリケートです。硬すぎる鉛筆(H以上)で強く描くと、傷が残って後の表現が制限されることもあります。まずは柔らかめのB系で軽く下描きし、必要に応じて濃さを重ねていくと良いでしょう。

ワンチンや下敷きを使った手の汚れ防止

鉛筆の粉が手につくと、画面に汚れが広がる原因になります。ワンチン(紙を折り曲げたカバー)や専用の下敷きを手の下に敷くことで、紙面を保護しながら描くことができます。これにより不要な摩擦やスレも防げます。

練り消しゴムでの修正タイミング

練り消しゴムは、軽く押し当てることで鉛筆の粉を優しく取ることができます。広い範囲の修正には、揉みほぐして平たくして使い、細かい部分には尖らせた先端で対応します。タイミングとしては、仕上げ前の整えや陰影の調整時が最適です。

まとめ

デッサンにおいて鉛筆の濃さや硬さの選び方は、完成度に大きく影響します。芯の記号(H・B・F)の意味を理解し、メーカーごとの特性や用途を知ることで、より効果的な表現が可能になります。線の太さや濃淡は、持ち方や筆圧の変化、芯の角度によっても変化するため、正しいテクニックと練習が必要です。

初心者の方は、2H〜4B程度の基本セットを選び、画面保護や手の汚れ対策などにも気を配りましょう。自分に合った鉛筆と使い方を見つけることが、上達への第一歩です。